鹿島茂さんの「引用句辞典 教育崩壊」(『毎日新聞』12月22日朝刊)の続き
昨日、フランス文学者の鹿島茂さんの「引用句辞典 教育崩壊」(『毎日新聞』12月22日朝刊)について、少しご紹介した。昨日紹介したのは、鹿島さんのエッセイの前半部だけだった。後半部は前半部に劣らず興味深いことが書いてある。
前半部は主に、文部科学省と大学が、学生を「顧客」として扱い、その「顧客満足度」を最大化させるような方針をとっていることへの批判だった。学生の基準で判断された「顧客満足度」の高い授業に人気が集まり、そうでない科目や、関連する学部・学科は淘汰される。後半部は、顧客として扱われてきた学生の就職について書かれている。
鹿島さんによれば、学生は学校で学んだことをいきなり実地に移して高給をとることを望むようになる。つまり、「『顧客』として満足したいがために就職するのである」という。なるほどと思う。確かに学生を見ていると、そういう部分があるようにも思えてくる。鹿島さんは次のように続けている。
だが、いうまでもないことだが、企業は「顧客」として振る舞おうとするこうした社員を必要としていない。企業が求めるのは、本当の意味での顧客(消費者)を満足させるために、無遅刻無欠勤をはじめとする企業内の規律をよく守り、ワガママを捨てて他の社員と協調し、その上で初めてクリエーティブなことに挑戦するような社員である。
しかし、「規律に従う」という習慣行動を身につけていない学生は、仕事が続かない。鹿島さんは次のようにエッセイを締めくくっている。
「お客様は神様です」という発想こそが教育崩壊の原因なのである。
昨日述べたように、大学の本当の顧客は学生ではなくその「親」である。あるいは、私立大学もいくらかの助成金を国家からもらっているという意味では、「国民全体」とも言えるかもしれない。本当の「顧客」を取り違えて大学教育を考えると、社会全体に大きな損失をもたらすだろう。


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